笛吹きたち会員

第35回青山フルートインスティテュート発表会


テーマ「つける」

副読本原稿


今年の副読本文学賞は桂川達郎さんが授与されました。
なお1番目のヴィヴァーチェは藤崎孝美さんと山本喜子さんのデュエットですので各自のソロの番号のところをお読み下さい。

2.水村 英理  <つける>  
この間バイト先でキュウリと長芋のお漬物を作りました。前日に作って、一晩漬けておくだけでいいそうです。一晩漬けておくだけで美味しくなるなんてなんて羨ましいんだろう・・・私も一晩寝かせるだけで暗譜ができる。とか、指が回るようになってる。なんてことを期待しつつ今日も早めに寝ます。絶対にありえないけ ど・・・。

3.渡邊 恭子  
「つける」・・・意味が豊富な言葉ですね~  今、私が「つける」で直感したのは「色・彩」!  おそらく、今自分が一番手に入れたいミエナイ存在の、そして生涯追い続けるであろう・・・のが、「色・彩」。  色・彩には、人柄・味・音・・・コレマタ豊富な意味があるように思う。 欲張りな私は、これからも貪欲に自分に色・彩を「つけ」続けたい。

4.伊東 義曜  
師匠の思いはいずこに。付ける、着ける、漬ける、就ける、突ける、衝ける、附ける、点ける、浸ける、憑ける、尽ける、搗ける、吐ける、即ける、撞ける、憑ける。字海に溺れるわが身かな。あと113文字。何とか書けば、今の自分のフルートに限定して考えると、つけるは、 「付ける 」で、何を身に付けたいかといえば 「良い音、良い音程、大きなダイナミックレンジ、良い歌い方、良い解釈、効率的練習法、そして良く回る指 」と言うところ。

5.一瀬 博道  「本棚の片隅から」  
本棚の片隅から、緑色のハードカバーのノートが見つかりました。  
4人目の子供が小学校に入学した時、子供達の成長の記録を書き留めておこうと買ったノートでした。  
残念ながら、忙しさにまぎれ1ページも書かないまま本棚の片隅で眠ったままでした。  
あれから15年も経ってしまいました。娘は結婚して孫までできてしまいました。  
ノートには何もつけなかったけれど、心の中には子供達との楽しい思い出が沢山つけられています。  
さてあのノートで孫の成長記録でもつけようかな・・・・!

6.葛西 よう子  
私は家計簿をつけています。  簡単なものではありますが、その日何にどれだけお金を使ったのか毎日チェックを入れています。同時に夕食のメニューもつけていて、それは少ないレパートリーをうまく使い回すためのものです。そろそろ新しいレパートリーを増やさないと・・・

7.久慈 弥重子  
友達と伊豆の日帰り温泉施設へ行こうと車で出かけました。寄り道をして楽しくおしゃべりをしながら向かっていましたが、なぜか目的地がどこだったのかわからなくなってしまい、気がついたときにはもう夕方になっていて、結局辿りつくことができませんでした。  いつかまた行こうと思います。今度こそ辿りつけるように…。

副読本文学賞受賞文

8.桂川 達郎  「馬鹿につける薬の話」  
閻魔大王は、地獄の門前にやってきた若い男を見て、このまま地獄へ落とすのは不憫と思い、若い男に向かって、  
大王:男よ、お前は人間界で何か善行を施したことがあるか。  
男:唯一つだけあります。  
大王:それは何だ。  
男:馬鹿につける薬を発明しました。  
大王:ナニ、馬鹿につける薬か。ワシも試してみたい。早速戻って持って参れ。
・・・大王は男の嘘を見抜いて、男が再び戻って来ないことを願っていたが、一方男は薬を持参しなければうそがばれて地獄行きとなることを怖れて一策を案じ、再び地獄の門前に戻ってきた・・・  
大王:馬鹿につける薬を持参したか。  
男:いいえ、人間界では馬鹿につける薬の効き目によって、皆利口になってしまい、薬が売れず、製造を中止しております。馬鹿がふえて薬が売れるようになりましたら、今度は必ず持参します。  
大王:二度までも嘘をぬかしたな。折角助けてやろうと思ったのに。地獄行きだ。
・・・地獄へ落とされた男は、馬鹿につける薬の研究に励んでいるそうです。

9.高倉 直子  つける  
最初に思い浮かんだのは「漬ける」  
このごろどうも味覚が変わったようで、漬け物が好きになってます。  
大人の日本人になったのかもしれない?!  
でも今日はXmasイブなのでろうそくに灯を点けるのが似合う日ですね。  
心静かに1年を振り返りたいものですが・・・  
1年で一番緊張する日になりました。

10.山口 和克  つけずにたっする  
「つける」。問題のある言葉です。ハクをつける、貫禄をつける、Eメカをつける、ケチをつける、火をつける、あとをつける、などなど、つけていいのは漬け物くらいでしょうか。「つける」とは、元来備わっていないものを、余計に加える操作を言う言葉です。実力をつけるとはいうが、どんな能力でも、足し加え得るものではなくて、身から削り出すもの、本体から研き出すもの、本質です。従って本質的に力が備わっていないものに余分につけるのは無理なこと。あきらめの境地に達する他はありません。達するのは早ければ早い程よろしい。本気で始めれば3ヶ月で判るはず。そうです。達するのです。来年のテーマは「たっする」に決めましょう

11.山本 喜子  「つける」  
いいがかりをつける。いちゃもんをつける。  
戦争というのは昔から「いいがかり」や「いちゃもん」をつけることから始まったものだ。  
たとえば、家康が「国家安康」「君臣豊楽」という鐘に彫られた文字にいちゃもんをつけて、大坂冬の陣、夏の陣が始まったし、イラク戦争は、核兵器があると言いがかりをつけてアメリカが戦争をしかけた。  「つける」にはいろいろあるけれど、この場合の「つける」には世界を滅ぼすかもしれないという重大な意味が含まれているのだ。  
今年のテーマは、ちょっと過激な「つける」でした。

12.諸戸 孝明  「人生のつけ」  
会社人間一筋で生きて来ました私も、最近では企業戦士を卒業して普通人間であることの喜びを覚え、お陰さまで家族や友人たちとの折合いも付けられるようになり信頼も増しました。残念なのは遅く始めましたフルートでは折合いを付ける目処がたっていないことです。自ら吹きたくて始めたフルートですが、才能、資質、感性に問題あり運指やブレス(肺活量が無い)が上手く行かず最悪なのはリズム感が欠如していることです。下手くそでも吹きたい願望とリズム感欠如との折り合いは付けることが出来るのでしょうか。それとも「人生のつけ」として折り合いは付けられないのでしょうか。

13.小島 邦雄  つける  
今年のテーマを見て最初に頭に浮かんだのは「一本つける」です。他にはどうもイメージが湧かず、どうやら私につける薬の無いことかなと思ったりしました。今日は身勝手な演奏にうまく伴奏をつけてもらって乗り切りたいと思います。

14.小野 宏子  「つける」  
音楽には「つけ」なくてはいけないものがたくさんあります。強弱を「つけ」る。アクセントを「つけ」る。イメージを「つけ」る。音色に変化を「つけ」る。そんなにたくさんのことを同時に考えるなんて無理!と思いますが、さらに発表会となれば格好まで「つけ」なくちゃいけないので大変です。衣装を買うとか、髪型を整えるとか、化粧をするとか、・・・でも、こちらはいくつだって同時にできちゃうから不思議です。今日演奏する曲は、人魚と人間の恋の物語が元となり作曲された曲です。聴いている方に少しでも物語のイメージが「つけ」られるように演奏できたらいいと思います。

15.上野 京子  「つける」  
最近の「つける」と言えば「気をつける」です。気がついたら物忘れが激しくなって、兎に角すべてをメモしておかないと不安で不安で... とても大事なことをうっかり忘れている気がしてしまって。見る夢ときたら,お客さまとの約束を忘れて会社に電話がかかってきたとか、大事な会合の日に、ラフな格好で会社に行っていた、とかそんなことばっかり。そんな自分の不安な気持ちを解消する唯一の方法が常に「気をつけて」手帳に必ず書いておくことです。後はその手帳をなくさないように気をつけるだけ。

16.植竹 里奈  憑ける  
ここ何年か肩凝りが酷いです。腰・背中は何ともないんです。肩だけなんです。あまりに酷いので、何かが取り憑いて肩に乗っかているのではないかと思ってしまいます。恨み(怨み?)を買った覚えはなきにしもあらず。整体に行くよりも御払いに行くべきかと本気で悩んでます。霊感が強い方、いらっしゃいましたら私に一声掛けて下さい。何かが見えたら教えて頂けると有難いです。一先ず今日もピッ○エレキバンを貼りつけようかと、お見苦しいかもしれませんがあしからず。

17.深澤 晶子  
「つける」ばかりで  いわゆるミニ野菜の普及でピクルスを「漬ける」のがとても楽しいです。

18.成瀬 忠  「つける」  
師匠の意図は弟子達に「つける」に託して何を望んでいるのだろうか?  
「つける」には能動的な意思が伴う。  
小生が身につけたいもの、リズム感・音楽性。  
だが外苑ビルの3Fの扉をたたいて、30数年、未だにいずれも身についていない。忸怩たる思いである。 しかし、生来の音楽好きで懲りずにレッスン室に通っている。

19.斉藤 源一  元気をつける  
私にとって元気をつける良薬は酒だ。一日の終わり、まず食前酒にキルッシュを一杯。それから赤ワインを一杯、また一杯。澄み渡る秋の空を夕陽が赤くワイン色にそめて、静かに深まる秋の夕暮れ・・・・にまた一杯。若かりし頃はその複雑さ故の葛藤に苦しんだ。が、歳を経るにつれそれもしだいに整理され、今や単純そのものとなっていった。やがて夕闇が迫り、夜空一面に星の数々が輝き始める晩秋の至福のひととき・・・・に乾杯。

20.中村 和正  
携帯には何も付けません。  
ストラップも付けません。のぞき見防止シールも付けません。プリクラもシールも付けません。 寝るときには電源もつけません。  
朝、目が覚めて携帯の電源をつける。

21.町田 幸子  
私にとってつけると言ったら、漬ける。  
お漬け物を漬けること。  
土日になると何かしら漬け物を漬けている。  
ぬか漬け、酢漬け。  
最近気に入っているのがキムチを漬けること。  
カブの葉、三つ葉、カクテキ。  
唐辛子以外にも沢山の薬味を用意して漬けるので、準備がとても重要。  
音楽の練習も同じ、準備をきちんとしないと、美味しくない。  
私のお漬け物も音楽もいつになったら美味しくなるんだろうか。  
まだまだ時間がかかりそうだ。

22.田頭 ゆかり  つける  
学校のマラソン大会で2年と6年の娘に「前の人にぴったり『つけ』て最後にダッシュだよ!」とアドバイス。それができれば苦労はないと言いつつ、二人とも去年より順位をあげました。母も負けてられないヮ。楽譜をしっかり頭の中に貼り『つけ』なきゃね!

23.藤崎 孝美  
レッスンでよく石原先生から「もっと強弱をつけて」「表情をつけて」と注意を受けます。  
未熟な私がフルートの演奏で強い音を出そうとすると音程があがってしまい、弱く吹こうとすると下がってしまいます。  
これがアンサンブルでやると 相手の音程とのずれが耳障りな不調和音となってしまいますので相手の音に耳をすませ自分の音に注意をはらい 慎重に吹くのです。  
アンサンブルの楽しさはたくさんありますが、1番は2つの音が重なることで生まれるハーモニーだと思います。  
フレーズの掛け合いや迫力など 1つの音ではできない 様々な表情がつきます  
パートナーの山本さんと、こんなことに「気をつけて」練習してきました。  
石原先生にヴィヴァーチェと名前を「つけて」いただいた私たち、もう何年になるかしら?  
山本さん、これからもよろしくね!

24.藤山 沙保里  
つけるといわれても分かりませんねぇ。話をつける、決着をつける、ボタンをつける?さて。難しい。難しい。悩んだ末、私のつけるは、、、分かりません。ごめんなさい。何かに何かをつける??あ~全然分からないです。来年は、きちんと書きます。元幼い?少女でした。。。

25.内田 由美子  
今年は、きちんとピアノに「つける」ことができるかどうか。とても不安です。休止の数え方をまちがえてとんでもない「つけ方」をしないように神に祈ります。

26.匿名  「つける」  
旋律に、表情をつける、装飾音をつける、........と音楽がかわります。いきいきとしてきます。食材なども、火加減にくわえ味つけがうまくいくと絶品となります。女性の方は、アイシャドーをつける、口紅をつける、...........と、魅力的になります。 でも「つけ」ぐあいが、まずいと、.....変な感じになります。  
この、微妙なつけぐあいに、心血をそそいでいます。音楽家も、料理人も、そして、妙齢の女性の方々も。  今日は、みなさん、いろいろなフルートの作品にどのような「音づけ」をされるのでしょう。

27.米嶋 光敏  「でも練習不足・・」  
今日の発表会の曲は、大好きなプーランクのソナタ。初めてこの曲と出会ったのは、高校生の時でした。 譜面をみて歯がまったくたたなかったのを覚えています。  
いつかやりたいなと思っていた、この曲を15年越しで挑戦します。  
クリスマスイブに15年の思いを胸に、テクニックではなく皆様の心に刻み付けるような印象深い演奏を目指します。

28.堀 淳子  見つける  
長年、人生の師匠と呼べる方を探しておりました。人それぞれ歩み方は違いますが、人生の半ばで石原先生に出会えたことを嬉しく思っております。  
神に感謝

29.木村 真諭紀  
つけられるってすごいなと思います。たとえば、のど自慢で自由に歌う人につけていく伴奏者、ジャズの即興演奏すごいなと思います。石原先生もすごいですよ。その場でエチュードに合わせて伴奏をつけちゃいますから。私は、今回もピアノ伴奏の方につけてもらって吹きます。伴奏は全く心配はありませんが、自分の中には不安がいっぱいです。口唇がふるえたら?口がかわいて痛くなったら?譜めくりで楽譜が飛んでしまったら?と。その前に演奏に間に合うように迷わず会場に「着ける」かも大きな心配です。