笛吹きたち会員

第43回青山フルートインスティテュート発表会


テーマ「えがく」

副読本文学賞
徳植俊之さんが授与されました。(副読本をご覧ください)

意地の上賞
田頭ゆかりさんが授与されました。

意地の上賞
田頭 ゆかり様
苦節二十年、月謝を払い続けて二十年、とうとうあなたは意地の上賞に輝きました。
「こんなに上手なお弟子さんがひしめいている青山フルートに、私のような者がいて良いことなのでしょうか?」と述懐されたあなた。なんと謙虚な方なのでしょうか。生徒さんの存在価値は上手下手に関係ありません。いかに音楽を愛し、いかにそれに立ち向かうかによります。お子さんを背負いレッスンを続けられた姿は今でも師匠の目に焼き付いています。
 あなたは青山フルートのためには今まで献身的な協力を続けて下さっています。「笛吹きたち作り」は勿論のこと発表会の幹事も頼まれれば決していやな顔を見せません。今回も発表会の幹事をお願いしたところ、「もうすでに何年も続けているので今年は会場取りの並びで協力します」と言うことでした。しかし、今年のルーテル城攻略日は伴奏合わせの日とぶつかり並ぶ仕事は出来ませんでした。そして来年の会場は・・・?(口頭で発表します)
 お弟子さんの存在価値はフルートの上手、下手だけには留まらないという事を心の支えにして、これからも音楽と幹事の道に邁進して下さることを望みます。
よってここに賞します。
平成二十六年十二月二十日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩

「笛吹きたち」43号文学賞
第1席は田頭ゆかりさん、第2席は徳植俊之さん、第3席は川口晴子さんが授与されました。


笛吹きたち文学賞

第1席

笛吹きたち四十三号「文学賞」
第一席 めんどくさいね『サッちゃん』
 田頭 ゆかり様
 おめでとうございました。前号に引き続き今号も第一席に輝きました。すごいことです。「田頭家物語」は毎号読者の注目を浴びていて、次はどんな事件が起きるのかと楽しみにされています。今年は「サッちゃん」にスポットライトが当てられました。題名から田頭家の近所に住む女の子のことかなと思わせましたが、あに図らんや作者の母上のことでした。
 世の中に「常識」という言葉があります。常識は世の中に生きていくための潤滑油です。常識の中で行動していれば誰にも文句を言われません。そして、誰しも自分は常識の中で行動しているものと思っています。自分の常識と他人の常識が一致していれば問題は起きません。しかし、田頭家での「サッちゃん」の常識と周りの人の常識のずれが、作者をしてこの大作を書かしめることになりました。作者に伺ったところ「書くことはもっといっぱいあるのですがあの辺で止めておきました」との事です。当事者のストレスは大変なことと想像はしますが、それを諦念と愛情で書き上げた文章力に読者の共感を得たことと思われます。しかも、今回脇役となった田頭家の面々も所々に配した構成力も見事でした。
「十人十色」という言葉がありますが「十人十常識」と考えて「サッちゃん」孝行をしてあげて下さい。よってここに賞します。
平成二十六年十二月二十日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩


第2席

笛吹きたち四十三号「文学賞」
第二席 徳植氏、長き沈黙を破り、再び大いに語る〜二○一三年クラシック界を振り返る〜
 徳植 俊之様
 徳植氏、長き沈黙を破り、---云々の長たらしい題名の作品が今号の第二席に選ばれました。レッスン室に復帰するやいなや昨年に引き続き今号も文学賞を攫いました。専門が国文学だから致し方ありませんが、並み居るその他のお弟子さんもお手上げです。しかも、最近の音楽に打ち込む姿勢はプロの音楽家も顔負けで、ハチャトリアンのヴァイオリン協奏曲をフルートで演奏し、なおかつ演奏会場の研究にも励むなどとはなまじの人には出来ないことです。
 今号のこの長たらしい題名の文章は徳植さんが、人妻?いや美の女神に恋した結果のたまものです。通い詰めた人妻?いや演奏会場の立ち居振る舞いを比較してその匂うばかりの魅力を軽妙な筆致で描いた文章はなまじの人には出来ないことです。
 ミューズの女神に入れあげて文学者としての身を持ち崩さないよう、なまじの人には出来ないことを推し進めて下さることを祈っています。よってここに賞します。
平成二十六年十二月二十日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩


第3席

笛吹きたち四十三号「文学賞」
第三席 西大寺軽便鉄道
川口 晴子様
 笛吹きたち文学賞は発表会に出ないとなかなか受賞することが難しいのです。何故かというと発表会の伴奏合わせの時期に投票が行われ、出演者はその場で催促されるのでどうしても知人の中から選ぶという傾向が見られるからです。準会員の投票が少ないことも一因です。そのような状況の中で今号は準会員のあなたの作品が第三席に選ばれました。素晴らしいことです。
 あなたの「西大寺軽便鉄道」はその時代に活躍した乗り物を背景にして、ご主人の御祖母「澄子さん」を描いた文章です。澄子さんが書いた随筆を基にしてこの作品が生み出されたという事ですが、一昔前の時代に生きた女性の生涯を知ることによって読者の心を温めるものとなりました。
 あなたの文章が四十三号の巻頭を飾ったということは原稿提出が一番早かったと言うことです。一番最初に目に入る文章です。だから選ばれたというわけでは決してありませんが、これがお弟子さんたちに原稿を早くだそうと言う励みになれば幸いです。よってここに賞します。
平成二十六年十二月二十日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩