笛吹きたち会員

第38回青山フルートインスティテュート発表会


テーマ「きめる」

「笛吹きたち」38号文学賞

第1席、山田明子さん、第2席は田頭ゆかりさん、第3席と中村和正様が授与されました。

「石の上」賞

高倉直子さんが授与されました。

「意地の上」賞

葛西よう子さんが授与されました。

「いきの上」賞

上野京子さんと小島邦雄さんが授与されました。

 


第1席

笛吹きたち三十八号文学賞
第一席
 山田 明子様
「引退」
 何年もの間、編集後記しか提出がなく、久しぶりに原稿が出たかと思えば初めての文学賞受賞!!しかもいきなり第一席を奪ってしまいましたね。
私たちプロにとって音が出るということは当たり前のことで、音が出ない経験をしない限り音が出ない人の苦しみはどんなものか本当に分かりません。それができたことはとても貴重な経験であり、これからは今まで以上にアマチュアの気持ちが分かる先生としてきっと多くの生徒さんに愛されることでしょう。
 今やお宅の台所ではガスコンロさえも撤去し、大事な家事もできるだけ避けフルートにいそしんでいると伝え聞いています。たまには手作りのお料理でご主人を楽しませてあげてください。きっと今まで以上に旦那様の気持ちが分かる奥様としてますます愛されることでしょう。
 よってここに賞します。

二〇〇九年十二月五日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩


第2席

笛吹きたち三十八号文学賞
第二席
 田頭 ゆかり様
「大じかけなバランス調整」
 今年もまた田頭家物語が文学賞に輝きました。CMでもよく収入と収支のバランスは大切にっていうくらい何事においても適度なバランスを保つことは大切ですよね。あなたの作品を読むたびに自分も田頭家の一員になったような気持ちで引き込まれていくので、きっと笛吹きたちの会員のみんなが今年はマイコプラズマに感染したことでしょう。毎年文学賞に輝くほどの作品です。そのうち娘さんの結婚式のエピソードなんかが登場したりなんて想像してしまいます。いつまでも仲良し家族でいてください。
 よってここに賞します。

二〇〇九年十二月五日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩


第3席

笛吹きたち三十八号文学賞
第三席
 中村 和正様
「andante」
 ファンタジーに富んだあなたの作品「andante」はフォーレのファンタジー、ユーのファンタジーに肩を並べると言っても過言ではないほどの素晴らしい作品となりました。この作品は中村監督がメガホンを取り、ニコラス・ケイジ主演で映画化されジブリに負けない人気で今も世界中に配信されています。このような開拓を推し進める人をのちに「もーそー族」と呼ぶようになるそうです。これからも「もーそー族」の旗手として妄想界をリードして行ってください。全国の「もーそー族」の信者が次回作を心待ちにしているのです。
 よってここに賞します。

二〇〇九年十二月五日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩


石の上賞

高倉 直子様
石の上賞
「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり。人学べば智あり。智あるものは賢人なり。」「音楽とはただむずかしき理論を知り、解しがたき楽典を理解するにあらず。かかる学問は次とし、もっぱら勤むべきは日用に近き実学なり。」
苦節10年、ついに輝かしき石の上賞が到来せり。
この輝きに今日の演奏は遜色が有るか無きかは知る人ぞ知る。
貴女は稽古中、師の口まねすることに気づかれているかは疑問なり。
「もっと沢山息を吸って!」「沢山息を吸って・・・」
「もっと下腹から息を出して!」「下腹から息を出して・・・」
「ほら、音が大きくなったでしょう。」「音が大きくなった・・・」
輝ける貴女に贈る言葉
「型に入り型から出でよ」
よってここに賞します。

平成二十一年十二月五日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩


意地の上賞

葛西 よう子様
意地の上賞
石の上にも十年。意地を通して二十年。
ついに「意地の上」賞で二十年目を通過しました。貴女がフルートの先輩であるおばさまに連れられて外苑ビルを訪れたのは一九八七年七月のことです。あどけない少女だった貴女の成長をおばさまはずっと楽しみに見ていました。最近おばさまはふっと漏らしました。「嬉しいような悲しいような気持ちですが、よう子に追いつかれ追い越されてしまったようです。」
中学生、高校生、大学生、そして結婚され社会人になって貴女はますますフルートが上達されています。変わらないものはいつも控えめで心優しい気持ちです。
これからもますます音楽を深め、フルートを通して周りの人の心を慰めてください。
よってここに賞します。

平成二十一年十二月五日
笛吹きたちの会
石原 利矩


いきの上賞

上野 京子様
いきの上賞
 あなたが大学一年生の時、オケの先輩に連れられてレッスン室に見えた時から数えて三十年という歳月が流れました。大学を卒業し社会人となられ今や世界を股にかけて東奔西走のお忙しい仕事をされています。そんな生活の中でフルートは常にあなたと共に一緒でした。最近ではテクニックも磨きがかかり、リズム感もさることながら、音程に関して長足の進歩が見受けられます。今日のステージでは三十分を越す大曲に挑戦されるほどになりました。この境地に到達されたことはあなたの音楽、とりわけフルートを愛する気持ちが人一倍強く、真摯であったことによります。
 あなたは「笛吹きたちの会」の笛吹き代官様を長年に亘って勤めてくださっています。特に厳しく取り立てて人民を苦しめることなく、その会計も健全に運営されています。「後継者」を探してくださいと言われているのですがあなたに代わる人がなかなか見つけることができません。後継者がいないことは長生きの秘訣とお考えください。
 ますますの研鑽とさらなる新境地を目指してお元気でご活躍ください。
よってここに賞します。

平成二十一年十二月五日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩


いきの上賞

小島 邦雄殿
いきの上賞
 三十年という歳月が流れました。笛吹きたちの会の発表会、合宿などいろいろな場面が思い出されます。そんな場面であなたは笛吹きたちの会のため身を粉にして尽くしてくださいました。「頭を使う仕事は苦手ですが力仕事なら何なりと・・・」と言ってくださいます。そしてその仕事を要領よくてきぱきとこなすことは誰も真似ができません。遠くに楽器の壊れた人があれば行って直してあげ、楽器が足りないと言えばファゴットを持って駆けつけるというほどの親切さと器用さを兼ね備えています。周りの人から頼れる人として人望も厚く、ますますその存在が大きくなっています。
 昔はレッスンに来る度に「前回のレッスンから楽器にさわるのは今日が初めてです」と言いながらもきちんと吹くことは師匠には驚きでした。最近はこの言葉が聞けなくなりました。おそらく言い疲れたのでしょう。そんなことを言っても「師匠には信じてもらえない」と言うことが分かったのかも知れません。
これからも長生きをして笛吹きたちの会に貢献されることを祈ってやみません。
よってここに賞します。

平成二十一年十二月五日
笛吹きたちの会
師匠こと 石原 利矩